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水墨画は、日本では室町時代、雪舟によって深く広められました。
その基礎には「四君子(梅・菊・竹・蘭)」の表現があり、四君子を描きこなせばすべてが描けるとも言われています。

色彩から逸脱した白と黒。
墨の濃淡、にじみやかすれ、水分量、筆の走らせ方、そして紙の性質によって無限の表現が生まれる、モノクロームの精神世界です。

水墨画の大きな特徴は、一度置いた墨は消すことができないということ。
墨が紙に触れた瞬間、それはもう消せぬ痕となり、後には戻れません。
だからこそ一筆一筆に覚悟を宿し、魂を込めて描きます。
呼吸を整え、心を定め、その一瞬にすべてを賭ける――
まさに一筆一筆が勝負の絵画です。

また、水墨画においては「余白」もまた、重要な表現の一部です。
描かれたものの間にある静けさや空白が、見る者の想像を誘い、作品を心の中で完成させる。
描かぬことで語り、余白に美を託す――

そこに、東洋の美意識が息づいています。